機動戦士ガンダムは、少年たちの心を宇宙に引き付けた。ワープもないし、無敵の武器もない。宇宙時代になったって、弾薬がなければ戦えないし、抑圧的な親はいるし、結局は、地球と同じ環境のスペースコロニーの中で人は生き続けている。アニメではあったけど、そこには自分たちが知っている世界から連なる宇宙があった。それ故に、初めて知る手触り感のある宇宙に少年たちは痺れ、いつの日か、スペースコロニーに住んで、MSを操縦する自分を夢見た。
そして現在、地続きの宇宙への憧れは、いまだに大人たちを熱くする。月面旅行まであと少し。100年後に月面都市フォンブラウンができていても、ちっとも不思議ではない。お台場に現れた実寸大のMSガンダムは、重力のキツイ地球上では満足に動けないけれど、宇宙(ソラ)に出れば、自由に飛べる。地球の重力を振り切って、空へ飛び立つロケットは、私たちの少年時代の夢を乗せてもいるのだ。今回の本棚は、宇宙の話。少年時代に胸に抱いたあの熱が、もう一度湧き上がってくること請け合いだ。