┌『「女縁」を生きた女たち』上野千鶴子編
┌『消費者と日本経済 ┼『交易する人間』今村仁司
│ の歴史』満薗勇 └『子どもをナメるな』中島隆信
│
│ ┌『仕事と江戸時代』戸森麻衣子
●―『賃金とは何か』 ―┼『日本型雇用の真実』石水喜夫
│ 濱口桂一郎 └『僕たちはいつまでこんな働き方を
│ 続けるのか?』木暮太一
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│ ┌『組曲虐殺』井上ひさし
└『表現の自由』 ――┼『超空気支配社会』辻田真佐憲
市川正人 └『魔王』伊坂幸太郎
◎エッセイ「私たちが変える社会と経済」
経済成長を支える責任の主体が女性に求められた時代があった。
賢い消費者が社会を変えるという認識が広まった高度経済成長期の
日本では、消費者と言えば主婦だったのである。消費者がお客様と
呼ばれるようになった現代、多様な個人が消費活動の主体として認
識されるようになった。それと引き換えに、社会に対する消費者の
責任は希薄になってしまったが、何を買うにも選択肢があり過ぎる
今の時代こそ、私たち一人ひとりが賢い消費者であろうと努めなけ
ればならない。
消費が多様化した一方、私たちは画一的な日本型の雇用制度をい
つまでも変えられないままでいる。現代日本において働くというこ
とは、どこかに雇われるということを意味しがちだ。個人の職務で
はなく所属に対して賃金が支払われるのが一般的な日本では、何を
して稼ぐかよりも、どこに属するかが最重視される。
自分の能力を存分に発揮し、それが適切に評価される働き方を、
私たちはいつでも自由に選べるはずだ。それなのに、私たちはなか
なかそれをしようとはしない。世間の風潮から大きく外れることを
避けようとするあまり、私たちはやりたいことややるべきことを萎
縮してしまう。私たちは、自分ではそうと気づかないうちに、誰あ
ろう自分自身の手で、自らの自由を奪ってしまっている。考えろ。
思考を止めないことでした、賢くあり続けることはできない。