【小山 信也先生からのメッセージ】
数の神秘は,太古の昔から人々を惹きつけてきました.その神秘に魅せられた数学者たちによって,数学の謎は次第に解き明かされてきました.その中でも,素数に関する謎は,紀元前から主要な未解決問題に数えられ,今なお最先端の数学研究においても最難関とされています.
本書の主題である「ゼータ」とは,すべての素数を統合して得られる関数の総称です.「数学とはゼータ関数論のことである」と言う人もいるくらい,ゼータは現代数学の中心をなしています.現在では「ゼータを知ることが素数,ひいては数学の謎を解き明かすことである」と考えられています.
この度,日本評論社よりシリーズ「ゼータの現在」を刊行することになりました.私は,編集委員の一人として,第一巻となる本著「ゼータへの招待」を執筆しました.第二巻以降で「リーマン・ゼータ」「セルバーグ・ゼータ」など,個々のゼータが各分野の専門家によって執筆されるのに先立ち,第一巻となる本書では,各章ごとに各種のゼータを一つずつ概説しています.いわば,本書はゼータ理論のダイジェスト版であり,現代数学の風景を車窓から概観するバスツアーの役割を果たせるものとなっています.
素数・整数・そしてゼータの理論は,数学者のみならず,一般の数学愛好家たちをも惹きつけており,高い人気があります.本書の刊行に際し,私は,出版社の依頼で「トークショー&サイン会」をさせて頂きました(写真:2018年2月.書泉グランデのイベントスペースにて).
有料のイベントでしたが,多くの数学ファンの方々が来てくださり,ほぼ満席になりました.90分のトークはあっという間に過ぎ,終了後は私自身,初の経験であるサイン会と握手会を行いました.サインと握手を求める長蛇の列を見ていたら,アイドルの気持ちが少しはわかった気がしました.(笑)